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名古屋鉄道 Part3

次の走行音をこのページでお聞きいただけます。その他の名鉄の走行音はPart1ページから選択してください。

美濃町線モ590形(591号非冷房車時代/徹明町-関)
美濃町線モ600形(606号非ワンマン車時代/新岐阜-関)
美濃町線モ870形(874号/新岐阜-新関)


美濃町線モ590形電車

美濃町線モ591/徹明町
徹明町電停に停車中のモ591号

撮影:TH 1999年8月29日
(フィルム撮影)
 美濃町線は1999年3月に末端の新関-美濃間を廃止し(同区間走行音はPart1ページで公開)、同時に新関から長良川鉄道の関駅まで乗り入れるようになりました。この廃止区間のワンマン運転用に使われていたのがモ590形電車です。

 もともとこの電車は岐阜市内線用としてモ570形を基に3扉化し、出力も増強された発展型として登場しましたが、その高出力が買われていつの頃からか美濃町線で使われ、さらにワンマン運転対応化により新関-美濃間の区間運転用に用いられました。

 専ら新関-美濃間に用いられていたモ590形は同区間の廃止後その去就が注目されましたが、そのまま美濃町線用として引き続き使用されるようになりました。

 そして2000年に入りモ592号が冷房改造され、さらにモ591号も冷房化されるなど、引き続き美濃町線で活躍することが約束されたかに見えましたが、結局2005年3月に名鉄600V線区は全廃となります。

 廃線後は解体処理と思われましたが、軌間が同じ土佐電鉄に冷房改造・更新工事を受けたモ591号とモ592号が譲渡され、現在営業中。残るモ593号は台車等が土佐電鉄へ譲渡され、車体は岐阜県内で静態保存されています。

モ590形諸元 (非冷房時のもの)
製造年/1957年 製造所/日本車輌
全長/12.3m 全幅/2.225m 重量/16.2トン
制御方式/抵抗制御 駆動方式/釣掛駆動式
制御器形式/DBI-LCK34B(直接制御) モーター/TDK535-1A(45kw) x2個
台車形式 住友FS-78K


モ590/関
新岐阜行の表示で関駅に停車中のモ590形.
勿論,新岐阜へは直通できず,野一色で実際に新岐阜に行く電車に乗換(徹明町行表示の電車と相互に車両交換)となる.

撮影:Lu 1999年8月29日

名古屋鉄道 モ590形 モ591
美濃町線 徹明町-関 1999年8月29日録音 (約53分)

録音・編集・プロデュース/TH 収録協力/Lu 1999年編集作品
(C)TH


 収録当日はご覧のような快晴のよい天気でした。当然気温も高く窓は「全開」。後の改造で591,592号では冷房化したので、真夏に窓を全開で走る必要はなくなってしまいました。
  この録音は新関-美濃間廃止後最初の夏の、しかも廃止後わずか1シーズンで終わった591号車非冷房ツーマン時代の貴重な録音ということになります。さらに加わえれば収録は徹明町-関間の美濃町線全区間であり、設定上多くない徹明町からの全線走破列車として、その点でもさらに貴重な録音といえるでしょう。

 まだ新関-美濃間が廃止されてから一年しか経ってなく、途中から乗り込んで来た乗客が車掌に美濃まで行けるのか?と聞いていたりしていまして、録音にもそれが入ってしまっています。末期の美濃町線はワンマン運転となってますので、これも貴重なシーンでしょう。

 さて、この録音の競輪場前での停車時間が少々長いのですが(6分50秒頃から)、実は故障したマイクロバスが競輪場前電停の下り線路上で止っており、他の自動車に牽引されるまでしばらく停車していました。実際はもっと長く停車していたのですが、単なる停車中の音でしたので編集(カット)させていただきました。

モ591/徹明町
徹明町電停に停車中のモ590形.
安全地帯は設けられておらず,グリーンベルトで色分けされているだけのものであった.

撮影:TH 1999年8月29日
(フィルム撮影)
モ591/関
関駅に停車中のモ590形.
名鉄関駅は僅か6年だけの駅であった.

撮影:TH 1999年8月29日
(フィルム撮影)

モ590/運転台
モ590形の運転台.
巨大な直接式制御器が特徴.

撮影:Lu 1999年8月29日
モ590/車内
モ590形の非冷房時代の車内.

撮影:TH 1999年8月28日
(フィルム撮影)


美濃町線モ600形電車

美濃町線モ600/新関駅
新関駅に停車中のモ600形

撮影:Lu 1999年8月28日
 美濃町線本来のルートは徹明町から競輪場前へと至るルートですが、徹明町が街の中心部にあるとはいえ交通の要衝である新岐阜駅周辺からはだいぶ離れており、市内線に乗り換えなければならなく、いささか不便でした。

 そこで工場への出入り線を活用して鉄道線である各務原線と接続、懸案だった新岐阜駅乗り入れを複電圧車両使うことによって1970年に実現。このとき架線電圧の異なる「各務原線の新岐阜駅」に乗り入れるために製造されたのが、この「うまづら電車」ことモ600形です。

 美濃町線の「顔」ともいえるこの電車独特の「うまづら」デザインこそ1970年頃のものですが、台車・機器は旧型車発生品を流用したために、走り出せば釣掛駆動の響きとともにイコライザー台車独特の下から突き上げるような硬い乗り心が特色です。また床は高床となったため先輩にあたるモ510形電車同様路面/低床ホーム用の折り畳みステップを装備することとなり、やや乗り降りに苦労する電車でもあります。

 それでも、転換クロスシートを装備するなど当時の名鉄電車のサービス水準に沿ったものとなっていますが、この電車の最大の弱点は冷房機器が搭載できないという点です。これは元から大きい旧型の制御器のほかに複電圧対応のための機器も搭載したため狭い床下スペースをめいいっぱい使うことになり、それでも足りないため代わりに抵抗器が屋上に追い出され冷房機器を搭載するスペースがなくなってしまったためです。屋上に冷房気を思わせる箱が載っていますが、それが抵抗器箱です。

 モ600形は唯一両606号車をワンマン化改造をして残っていましたが、2005年3月の岐阜600V線区廃止とともに廃車となっています。

モ600形諸元
製造年/1970年 製造所/日本車輌
全長/14.89m 全幅/2.236m 重量/18.2トン(606号) 21.0トン(601号)
制御方式/抵抗制御 駆動方式/釣掛駆動式
制御装置/米国ウェスチングハウス HL480-F
モーター/TDK516-E(60kw) x2個 (601,602は1971年まで4個)
台車/米国ボールドウィン 42-84-MCB-1(601〜2号) 日本車輌D12(603〜)


名古屋鉄道 モ600形 モ606
美濃町線 新岐阜-関 1999年8月28日録音 (約48分)

録音・編集・プロデュース/TH 収録協力/Lu 1999年編集作品
(C)TH


 その後ワンマン改造されて唯一残ることとなった606号車の改造前ツーマン運転の模様を収録したものです。
メカ的には今のモ510形とほぼ同様なのですが、音的にはぬるめのおとなしい音に全金属製車体独特の硬い振動音がミックスされているのがモ600らしいところです。

 日野橋発車後の「右側が日陰で涼しいいので・・」というちょっとした心配りな車掌さんのアナウンスも、ワンマン運転では絶対に聴くことの出来ない音となりました。

関駅に停車中のモ600形
関駅に停車中のモ606

撮影:TH 1999年8月28日
(フィルム撮影)
モ600形台車
モ606のD-12台車
日本車両による,ボールドウィン台車のスケッチ生産品である.

撮影:TH 1999年8月28日
(フィルム撮影)
上芥見付近を走るモ600形
上芥見付近を走るモ600形

撮影:TH 2000年9月29日
名上芥見に停車中のも600形
上芥見電停に停車中のモ600形

撮影:TH 2000年9月29日撮影


美濃町線モ870形電車

試運転中のモ870形/上芥見
復電圧改造を受けた後,試運転中のモ870形.

撮影:TH 2000年9月29日
モ873-874号車内
モ873,874号車内.
1997年の特別整備(更新工事)により冷房化されたが,窓構造変更でオリジナルの姿ではなくなっている.

撮影:TH 2001年1月14日

※手ぶれ画像のため,見づらい点はご了承ください。
TS119台車
モ873号の先頭台車TS119.
名鉄では現存唯一の東急製台車であった.

撮影:TH 2001年1月14日 新岐阜駅

TS120台車
モ873-モ874号の連接台車TS120.

撮影:TH 2001年1月14日 新岐阜駅

ユーロピアンスタイル が特徴の「道産娘」

 名鉄の車両史中でも異彩を放つといえば、軌道線ではこの美濃町線モ870形でしょう。元は札幌市電のA830形として1965年に製作された2両連接車です。

 かつての札幌の市内交通の主役は路面電車でしたが、1960年以降人口増加で市電の乗客数も増え続けており、札幌市電は数々の「奇策」を出し続けます。
 例えば、トレーラーを連結する「親子電車」や、郊外延伸の際に電化するとコストがかかるとの理由から電車ではなくディーゼルカーの路面電車を登場させるなど、その対策に全力が注がれました。
 その結果、最盛期には総延長約25kmの路線網と車両数は154両、1964年に は一日当たりの乗客数約28万人に達しますが、その後はモータリゼーションと人口の郊外化が始まり、1971年に翌年開催の札幌オリンピックを契機に開通した地下鉄南北線と引換に始まった4次にわたる路線縮小を経て、1974年に現在の「すすきの」から西4丁目までの区間を残して廃止となります。

 さて、前述の「親子電車」は連結運転の際、全長が長くなることから道路管理者からの要望もあり朝一往復だけの運転に留まります。このままでは輸送力に限度があることから2車体連接式によるA800形が製作。続いて料金収受方式を改めたA810形が、さらにデザインをより洗練とした A820形が製作されます。
 従来より札幌市電は曲線を用いた洗練されたデザインではありましたが、A820形は正面に側面まで回り込んだ曲面ガラスを用い、側面も大きな窓を配し、日本の路面電車史の中でも最高傑作車となる出来映えでした。続いてドア数を見直したA830形が登場し札幌市電の最盛期における完成形が確立します。

 A830形が登場した1960年代後半から1970年代前半にかけて、日本の鉄道車両はデザインの変革期を迎えていた頃であり、路面電車ではこの札幌市電A830形等が、地下鉄では営団地下鉄(現・東京メトロ)6000系等が、私鉄では小田急9000形等といった傑作車両が続々と登場していた時代です。
 しかし、全国規模で統一的保守・管理が必要であった国鉄車両がデザイン面の変革を迎えるには、1980年代の185系や117系,201系の登場まで待たなければなりませんでした。

 A830形は1976年に引退しますが、奇しくも当時は「オイルショック」後で、名鉄も乗客増加で車両の増備による対処を行わなければならなかった頃。鉄道線では東急の旧型車を譲り受けると言う「奇策」に打って出ており、軌道の美濃町線でも乗客増加があったことから、丁度路線縮小で余剰となり、且つ輸送量の大きい札幌市電の連接車を3編成受け入れる事となり、同年美濃町線での営業運転に投入されます。

 A830形は酷寒冷地である札幌での使用だったため側面の大きな窓は固定式でしたが、北海道よりも暑い岐阜での使用には酷なため開閉式に改められ、乗降口には加動式ステップが取り付けられた他は原型をほぼ留め、600V専用であったため徹明町発着の系統に使われました。

 後に乗客数減少等により1編成が1983年に廃車、残る2編成は1996年と1997年にかけて特別整備が実施され冷房化されると共に側面の窓はごく普通の大きさのものに改められます。

 このまま使われ続けるものと思われた870形ですが、2000年に部分低床車モ800形登場・モ600形5両引退の際に復電圧仕様に改造されたのです。これにより田神線を経由して各務原線新岐阜(現・名鉄岐阜)駅に乗り入れ可能となり、僅か一駅だけですが鉄道線に堂々と乗り入れる姿が実現したのです。
 残念ながら、2005年3月の名鉄岐阜600V線区廃止により廃車となっています。

 この札幌育ちの波瀾万丈な「人生」だけでも名鉄の中では異彩ですが、もうひとつモ870形が異彩となっていたのは、ほぼ全てが日本車両製となる名鉄車両の中で現存唯一の東急車両製であったことです。

モ870形主要諸元
製造年/1965年   製造所/東急車両製造
全長/21.8m 全幅/2.23m 全高3.6m
編成重量/25.7トン 編成定員/120名(座席52名)
制御器/日本車両NA225(抵抗制御・間接非自動制御)
主電動機/東洋電気製造 TDK532-5B(45kW) x3
駆動方式/釣掛式 歯車比/4.50(63/14)
台車形式/東急 TS119(先頭台車),TS120(中間台車)
ブレーキ方式/SME自動空気ブレーキ(電気制動・保安ブレーキ付)
パンタグラフ/PT42-F
冷房装置/CU-127A x2 (改造/1996年,1997年)
復電圧仕様改造/2000年8月


新岐阜駅停車中のモ873,874号
新岐阜駅停車中のモ870形.
まさかの復電圧改造を受け,新岐阜駅に現れる姿を誰が想像しただろうか・・.

撮影:TH 2001年1月14日
(画像修正済)
モ873の運転台
モ874の運転台.

撮影:TH 2001年1月14日

新旧番号対照表
名鉄
札幌市電
モ873-モ874
A839-A840
モ875-モ876
A841-A842


名古屋鉄道 モ870形 モ874
各務原線・田神線・美濃町線 新岐阜(現・名鉄岐阜)-新関 2001年1月14日録音 (約54分)

録音・編集・プロデュース/TH 2002年編集作品
(C)TH


 「谷汲線詣で」で通いまくった頃に録音した、美濃町線モ874の録音です。
 この頃には既に復電圧改造されており、始発駅が新岐阜になっています。鉄道線の大型車両では曲線続きで徐行しなければならない新岐阜(現・名鉄岐阜)-田神間も、軌道線車両の870形は軽快に走って行きます。

 800形導入が発表された際、600形廃車両数(5両)と800形の導入両数(3両)に違いがあったため、不足する2編成分をどうやり繰りするのかと思っていたのですが、丁度2編成ある870形の改造で充当するとは仰天したものです。
 屋根上を見ると600形の抵抗器等があり、復電圧仕様に必要な部品は廃車となった600形から流用されたようです。

 録音したモ874ですが、隣のモ873よりも駆動音が大きく特徴的でした。既に札幌時代よりも岐阜時代のほうが倍以上もあり、おそらく札幌時代とは音が変わっているのではないかと思います。

 A830形の名鉄への譲渡は同じ1067mm軌間だったこともきっかけではありますが、札幌の馬車鉄道を電化して市内電車とする際、英国からの車両輸入が第一次世界大戦により困難となり、名鉄のルーツでもある名古屋電気鉄道より車両を購入したために、1067mm軌間での導入に変更されています。
 そして、この1067mm軌間であったことが、後のA830形の名鉄入りに寄与することになるのです。

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