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近江鉄道
近江鉄道の走行音録音です。

 滋賀県内に路線を擁する近江鉄道は、関西地方私鉄とはいえ首都圏大手私鉄の西武鉄道の子会社となる鉄道事業者で、米原-貴生川の本線と、近江八幡-八日市間の八日市線、高宮-多賀大社前間の多賀線の3路線から成っています。
 自社工場での車両改造により数多くの車両を造り出していた他、現在は西武鉄道からの譲渡車を元に改造を行ない、中には種車の面影が全く無いものまであります。

 釣掛駆動の旧形車も数多く残っていたのも特徴ですが、その多くの晩年は国鉄旧形国電を由来とするパーツを有効に活用し統一化されています。
 これは、かつて旧形国電の解体を引き受けていたことで部品の入手が容易だったこともありますが、親会社にあたる西武鉄道も国鉄旧形国電パーツに統一化をし車両を増備していたこともあり、国鉄の釣掛式主電動機を装架するFS40台車等の西武の廃車発生品をも有効活用できたことも、理由のうちでしょう。

 自社工場で改造された車両は大手私鉄なみの電気指令式ブレーキ(HRD)を採用しており、特に釣掛駆動の旧形車には自動空気ブレーキから一気に改造されたものもあり、同社車両の特徴のひとつとなっています。

 加えて「改造」という名目で車歴を引き継ぐ車両が殆どで、中には書類上の出自が20世紀初頭にまで遡るものもあり、近年西武鉄道から譲渡された車両にも書類上は自車車両の「改造」となったものもあります。

 また、かつて貨物輸送が行なわれていた際に用いられた電気機関車は、大変貴重なものが多く使われていた事も親会社同様で、現存するものが彦根の構内で展示されているほか、かつて東武鉄道から譲渡を受けたものが、東武博物館へ里帰り収蔵されるものもありました。

 愛称は「ガチャコン電車」で、電車の走る音が由来のようですが、かつては社名を略した「近鉄」という愛称であり、元祖はこちらとも言えるでしょう。

※このため「近畿日本鉄道」はかつて略称を「近畿日本」や「近日」と名乗っていた時期があった。

 「近江鉄道」の社名は、19世紀末に会社が設立されてから現在まで変わることなく、同様の事例は他に東武鉄道のみという大変由緒あるものです。

【おことわり】収録走行音は雰囲気をそのままするよう必要に応じての編集を施しておりますが、車内放送についてはそのままとしております。また、画像の車体広告についてもそのままとしております。車内放送ならびに車体広告の広告主と当ウェブサイトは一切関係ありませんし、それら広告の内容について一切保証・推奨等はしておりません。


近江鉄道モハ1形
近江鉄道モハ1形.

書類上の経歴は複雑,利用機器も様々な経歴を経ている.
撮影・収録時はオリジナル塗装に復元にされており,廃車まで堅持していた.

当時は米原駅ホーム移転前で,画像左側のJR跡地に駅前広場が展開されているが,以前は近江鉄道ホームも国鉄→JR構内に直接隣してた.
JR化後に再開発でJR駅が縮小し,JR駅東口駅前広場に孤立するような位置となってしまったが,現在はJR駅東口に隣接した駅舎・ホームに移転されている.

撮影:TH 2000年8月26日
米原駅
(フィルム撮影・画像調整済)

近江鉄道モハ1形車内
近江鉄道モハ1形の車内.

吊革の棒受金具が古い意匠である.

撮影:TH 2000年8月26日
(フィルム撮影・画像修正調整済)

米原駅旧駅舎にあった案内図
米原駅旧駅舎にあった案内図.

JR駅前再開発で近江鉄道旧駅舎は東口駅前広場に孤立していたが,その旧駅舎の中にあったもの.
その後の所在は不明である.

撮影:TH 2000年8月26日
近江鉄道米原駅(旧駅舎)
(フィルム撮影・画像調整修正済)
近江鉄道 モハ1形 モハ2号 (その1)
米原-近江八幡 2000年8月26日録音 約56分

録音・編集・プロデュース/TH 2012年編集作品 CR版
©TH



近江鉄道 モハ1形 モハ2号 (その2)
米原-近江八幡 2000年8月26日録音 約54分

録音・編集・プロデュース/TH 2013年編集作品 CR版
©TH



近江鉄道 モハ1形 モハ2号
近江八幡-米原 2000年8月26日録音 約54分

録音・編集・プロデュース/TH 2013年編集作品 CR版
©TH


 車歴だけなら20世紀初頭にまで遡るモハ1形の各車両も、実際は自車工場製15m級車体に手持ちの機器・台車を用いたものでしたが、後に台車はDT12/TR11を経て西武鉄道の廃車発生品であるFS40に、主電動機も旧形国電や西武でも多く使われたMT15、制御機もCS5、ブレーキは近江ならではの電気指令式HRDとなり、下回りはブレーキ以外はほぼ西武の釣掛電車なみとなっていました。

 モハ2とクハ1222が最後に履いていたFS40台車は、親会社の西武鉄道で用いられていたもので、西武ではDT12やTR12といった20世紀初頭にまで遡る古い台車を交換するために用意された、インダイレクトマウント式空気バネ・ペデスダル式の台車です。

 戦後の輸送力増強に際し雑多な中型・小型車を放出し旧形国電の払い下げを大量に受け、その車体や部品を流用し車両を量産した西武では、それらが由来のTR11やTR14といった釣合梁式(イコライザー式)台車も徹底的な改修を経て数多く用いられており、後にカルダン車601系の制御車にまで流用されるほどの状況でした。
 西武所沢工場ではこれら旧式台車の扱いに長けていたとはいえ、乗り心地の面等で劣るものでもあり、かといって釣掛車そのものを置き換えるには数も多く、コロ軸受化やTR25等の旧式台車を空気バネ付きに改造したりして使用を継続していましたが、後に新式の空気バネ台車「FS40」への交換を図っています。
 FS40台車は同時期の西武鉄道のカルダン車向け付随車用台車「FS067」を基にしたペデスダル式空気バネ台車ですが、車体に手を加える事無くそのまま履き替えられるよう、空気バネは台車側取り付けのインダイレクトマウント式とし側受で車体を支持、ブレーキシリンダは台車側取り付けとしたものですが、釣掛式台車ということもありカルダン台車に比べて軸距が長いのも特徴です。

 西武からの釣掛電車の譲渡に際しては、最初は社内でFS40を用いるために譲渡車はわざわざ旧式台車に履き替えられて放出されていたため、最終的に西武グループ外へ渡ったのは流山電鉄の1300形 初代「あかぎ」号のみで、近江はグループ企業ということもあり優先されたのか後年台車のみの譲渡も大量に受けており、この台車で在来車の近代化・乗り心地改善を図ったほか、現在でも運用されている220形の全てに用いられています。
 その中には、西武から三岐鉄道に譲渡された車両から三岐到着後直ちに取り外して近江に持って行ったものもあるとかで、同じ西武グループとして優遇を受けていた様子が伺えます。

 FS40台車はブレーキシリンダが台車側に4つあることから、ブレーキシリンダ系統の複数化が結果的に成されており、近年問題となった車体ブレーキ(車体取り付けの単筒ブレーキ)破損による制御不能を回避出来、加えて電気指令式ブレーキへの対応も容易なこともあって、近代的釣掛台車として今も用いられる(使える)要因になっています。

 釣掛駆動と電気指令式ブレーキの乾いた排気音が何ともミスマッチでまた近江らしい特徴にもなっていますが、よく聞くとブレーキ時に「ジャー」と鋳鉄シュー独特の音があり、電気指令式ブレーキとの組合せは珍しいのではないかと思われます。

 最末期はモハ2とクハ1222が残り、廃車間際の2000年には旧色に塗替えられ(これは西武の赤電と同じ)、700系や800系に車歴を譲る形となり、実車は解体されました。
 録音は、その再末期のものです。
 近江八幡行きの録音を2本掲載していますが、当初はどちらかを掲載する予定のところ、双方とも状態が良いので掲載しています。
 収録時、週末に八日市から八日市線に入る運用が事前に告知されたこともあり、加えて当時月1回の土曜日のみ発売となっていた格安の1日乗車券を利用して録音したものです。

モハ2
元宇治川電気デハニ2 (1928年4月 川崎造船) ※書類上の車歴
車体新造 1966年3月
全長15,710mm 全幅2,740mm 全高4,145mm
自重 33.7トン
定員 112名(座席48名)
主電動機 MT15E(104kW)
台車 住友金属FS40
制動装置 HRD(電気指令式)
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制作・著作 Copyright © 1995 Toru Hirose (Stream Express)
from TOKYO, JAPAN.

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