

Home > Sound Gallery > JR東日本 > [特集]常磐線快速103系電車

特集 常磐線快速103系電車 (成田線を含む) |
![]() |
|
||
「首都圏5方面」※と呼ばれる線区のうちのひとつ、常磐線は5方面路線としては103系最後の運行路線となりました。 ※「首都圏5方面」=東海道線,東北・高崎線,中央線,総武線,常磐線 常磐線には1974年の複々線化と同時に松戸電車区(当時・北マト/現・松戸車両センター・東マト)に投入。色は他線区にはないエメラルドグリーン(青緑1号)が新たに採用され、それまでのモハ72系電車を置換えていき、さらに新しくできた各駅停車線(緩行線)には地下鉄千代田線乗入用の1000番台車が投入されました。 快速線では最高速度100km/hの高速度運転を行うこととなり、付随車はディスクブレーキを装備。駅間距離の短い線区向けとして開発された103系が高速度線区の常磐線では唸りも高らかに100km/hで爆走するため、深夜早朝であれば1キロ以上離れた所でもよく聞こえる状態でした。 1000番台車は地上線用とは異なり制御器が多段仕様に、空気部品などが地下鉄用の耐湿形のものになっているほか、抵抗器の冷却は自然通風式となったため、強制風冷の地上線用のものと比べて停車時は私鉄電車並みに静かなのが特徴です。
快速線の103系は、その後電化された千葉局成田線我孫子支線にも進出(後に当線は千葉支社管轄のまま,オール松戸区車運用に)、さらに輸送力増強に伴い増備されていきますが、緩行線用1000番台車は1980年代にアルミ車体チョッパ制御車両の203系に置換えられます。 緩行線時代の1000番台には冷房がなく、しかも地下鉄仕様のため窓も僅かしか開けられず、それに加えて抵抗制御で発熱が多く夏場は地獄のような熱さでラッシュ時には気分を害する人も続出する状態がしばしありました。 常磐緩行線に乗り入れる営団地下鉄(当時/帝都高速度交通営団.現在の「東京メトロ」こと東京地下鉄)のチョッパ制御電車6000系よりも103系は電力消費量が多く、電気代の差額分を営団地下鉄に支払ったり(車両使用料に差が設けられていた)、地下鉄トンネル内での蓄熱対策で体質改善を要求されていたため、国鉄時代末期に203系チョッパ制御電車に取り替えらました。 緩行線の任を解かれた1000番台は一部が西日本地区ローカル用105系に改造され、残りは松戸電車区配置のまま快速線用に転用され冷房化。その後1編成が三鷹電車区に転属となり、1200番台車と共に地下鉄東西線乗入れ用となって、そのまま地下鉄直通用として使命を全うし廃車となっています。 国鉄時代の1987年度には混雑率279%と当時国内最悪の混雑路線として有名だった常磐線快速ですが、混雑緩和の最終手段として民営化直後に全国103系唯一の15両運転を開始。この時に松戸電車区には6M4T(当時1000番台編成の一部には8M2T編成もあった)の10両編成の基本編成に加えて4M1T(または2M3T)の5両編成の付属編成が配置※。編成総延長300メートル,客出入口60箇所,両開きなので扉枚数が計120枚という数字は、同じ常磐線のE501系が出るまでは唯一の記録です。 これは103系史上最長の記録でもあり、また最高時速100キロということも合わせれば、日本の103系走行路線の中でも常磐線103系は「史上最強の103系」であったとも言えるでしょう。 ※ただし、15両運転時はユニット表示灯が5つしかないため10M5T迄となり、1000番台8M2T編成との連結の際は付属編成4M1Tのうちクモハ側ユニットをカットし2M4Tで運転していた。 さて、常盤線の103系は快速線用も当初は新製配置のみでしたが、増備や老朽車の置換え、さらには緩行線用1000番台車の転用などにより、同じ103系とはいえ製造年次による差異や番台等様々なタイプが存在するようになり、保守には大変苦労しているという話を聞きます。それを物語るものに、運転台右側の編成番号札の裏面には当該編成の詳細が記載されていました。 15両編成化により10両基本編成のほか5両付属編成も登場。松戸電車区は全国でも最多級の103系配置線区となりましたが、それは結果的に首都圏5方面路線で最後まで103系を運用することとなってしまいました。さらに京浜東北線が209系化されると、かつて103系投入により追われたモハ72系がそうであったように、上野駅に乗入れる最後の103系となってしまったのです。 そして2001年。JR東日本は新年度事業計画において山手線205系とともに常磐線103系の「一斉取替」を行うと発表。それに合わせて2001年末には常磐線用E231系が落成、松戸電車区に配置。モハ72系を置換えた103系が、今度はE231系に追われる側になってしまったのです。 2002年の初頭、E231系投入前の最後の冬が最大最後の録音シーズンでした。待っていれば必ず103系が来る最後のシーズンということで地元常磐線の103系に最も注目し、始発電車から終電車まで粘れる地元の強みを生かし、機会あるごとに録音を行ないました。 E231系の増備はE531系の製造決定や「つくばエクスプレス」開業による需要の見直しもあって計画が変更され、予定よりも少なくなりました。常速線用103系は2004年3月ダイヤ改正で完全撤退となる予定でしたが、20両(基本編成10両x1、付属編成5両x2)が最後まで残りました。 そして、2006年3月17日。強風が吹き荒れダイヤの乱れる中、所定より約4時間遅れとなりながらも、1033H列車の上野-松戸間の運転をもって一般営業運転を終了しました。 |
||
103系諸元 103系の諸元をまとめておきます。 なお、常磐快速線用以外の1200番台車(JR東日本/営団東西線乗入用)、1500番台車(JR九州/福岡市営地下鉄乗入用)も併せて記載しておきます。 全長20m(連結器面間/車体長さ19.5m) 全幅2.8m 最高速度 100km/h 制御器形式 CS20(地上用,1500番台) CS40(超多段バーニヤ式/1000番台,1200番台) 制御方式 抵抗制御方式(直並列組み合せ制御,弱め界磁制御併用) ブレーキ方式 SELD(応荷重制御付発電ブレーキ併用電磁直通ブレーキ) 台車形式 電動車DT33 付随車TR201,TR212 駆動方式 中空軸並行カルダン方式 主電動機形式 MT55,MT55A(110kw 375V) 歯車比 1:6.07(15:91) 加速度/減速度 2.0/3.5(地上用/MT比1:1の場合) 3.3/3.7(1000番台) 3.0/3.5(1200番台) 2.5〜3.3/3.5(1500番台) |
![]() |
雪の我孫子駅に停車中の成田線運用の松戸区103系付属編成. 運行番号表示器は3桁分しかないので,成田線での列車運用時は列車番号の下3桁のみ表示としている.首都圏で通勤車によるM電運用は当線と中央線高尾以西等であった. 撮影:TH 2002年1月20日 |
![]() |
クハ103形運転台.低運転台タイプ. 松戸区103系運転台のユニット表示灯は15両編成運転を期に5ユニット迄表示可能になるよう改良されていた. これにより,付属編成との連結の際は最大10両の電動車に対応できるようになった. 撮影:TH 2002年2月11日 |
![]() |
103系車内(クハ103-715).座席の表地以外は原型原色のタイプ. 撮影:TH 2002年7月26日 |
![]() |
103系車内(モハ102-1047).国鉄時代に特別保全工事が実施されたタイプ. 撮影:TH 2001年1月20日 |
![]() |
103系車内(モハ102-266).JR東日本の更新工事が実施されたタイプ. 撮影:TH 2002年1月13日 |
![]() |
103系電動車用台車DT55.大宮工場(当時)公開時に撮影.整備中でオイルダンパ未装着状態. 撮影:TH 2002年5月25日 |
![]() |
DT55台車に装着されたMT55主電動機と駆動装置.JR大宮工場公開時に撮影 撮影:TH 2002年5月25日 |
![]() |
中空軸並行カルダン駆動装置独特の「たわみ板継手」.JR大宮工場公開時に撮影 撮影:TH 2002年5月25日 |
Home > Sound Gallery > JR東日本 > [特集]常磐線快速103系電車 |
制作・著作 Copyright © 1995 Toru Hirose (Stream Express)
from TOKYO, JAPAN.
画像・録音の著作権者は記事中に表示しています。
本ウェブページサービス上の記事・写真・データ等の無断転載・転写、放送や出版物での無断紹介、複製・再送信、他の電磁媒体等への加工を禁止します。
リンクや転載などについて、詳しくはホームページをご覧ください。