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蒲原鉄道
(新潟県/1999年10月3日廃止)

 新潟交通廃止後、新潟県内最後の純私鉄電車となったのが、蒲原鉄道でした。
 1985年3月31日に加茂(加茂市)-村松(旧・中蒲原郡村松町/現・五泉市)間を廃止して以降、村松-五泉(五泉市)間のみが残る形となっていました。この残存区間も当初は1999年3月限りで廃止する意向だったものの、沿線自治体の反対で延期され、1999年10月3日をもって廃止されました。
 当ウェブサイトでは1999年6月から1ヶ月半おきに蒲原鉄道を訪れ録音・撮影を行ってきました。

 金曜の晩に「ムーンライトえちご」で東京を出て早朝新潟県入りするパターンを常用。首都圏から夜行乗り継ぎで朝一番から撮影や録音ができる貴重なローカル私鉄でした。特にクハを連結する2両編成は朝の通学ラッシュ時間帯にしか走らないため、朝一番から乗れるのは便利でした。
 1999年春からはJR磐越西線に気機関車C58 180号機による観光列車走り、いい時間帯に五泉駅に来ることもあり「SLと貴重な釣掛電車」を一度に味わうことができました。
 しかし、残念ながら1999年10月3日をもって同社は鉄道線営業を廃止。これにより新潟県内における純私鉄は、1999年春に廃止された新潟交通電車線に次いで、この蒲原鉄道を最後に消滅します。

 当ウェブサイトでは全電動車の収録を達成し、廃止後も永続的に走行音を楽しめるようにしていきます。

蒲原鉄道「かんてつレール祭り」77周年記念列車 ED1+モハ31 +モハ41
村松-五泉 1999年9月26日録音 約13分

録音・編集・プロデュース/TH 1999年編集作品 2009年簡易リマスタリング版
©TH


 1999年9月26日に行われた「かんてつレール祭り」の一環として、ED1+モハ31+モハ41で運転された77周年記念列車の模様を、ED1の次位に連結されたモハ31号の窓よりED1に向けて録音したものです。
 残念ながら式典の模様は乗車してしまったために、はっきりとは録音できませんでしたが、ここでは出発直前のED1「入場」からの録音でお楽しみください。
 また、五泉駅到着後の機関車入れ換え風景を含む駅の模様も含め再公開しました。

(当日の模様・電車は2番線に停車。一旦乗客を乗せた後、一旦扉を閉めて加茂側へ後退してモハ31のみホームにかかるようにしてED1を式典の観客の前で連結。その後前進してモハ31で乗車扱いをしてから出発しています)

[ED1 主要諸元]
主電動機/TDK-31S-C (600V 55.96kW) x4※ 歯車比/1:5
台車/日車釣合梁式※

※蒲原鉄道車両竣功図表による.寺田裕一氏の著書の諸元表では出力が56.4kW x4とされているが,竣功図では上記となっている.


蒲原鉄道 モハ71形 モハ71
村松-五泉(往復) 1999年9月25日録音 約19分

録音・編集・プロデュース/TH 1999年編集作品
©TH


 「かんてつレール祭り」の前日、1999年9月25日に偶然にも某団体によるクハ10貸切運転があり、連結電動車としてモハ71号の営業運転がありました。その際の録音です。
 全電動車中最も轟音を奏でるのが、このモハ71号です。台車はとても貴重な住友KS台車です。

[モハ71 主要諸元]
主電動機/イングリッシュ・エレクトリック DK-31-2N (600V 63.4kW) x2※  歯車比/1:3.2
台車/住友KS-33L

※真鍋裕司氏の著書による.

蒲原鉄道 モハ31形 モハ31
五泉→村松→五泉→村松 1999年6月5日録音 約27分

録音・編集・プロデュース/TH 1999年編集作品
©TH


 五泉発村松行の一番電車から3録音まとめて公開します。運転士さんが五泉発車前に「おはようございます」といっているが特徴です。
 モハ31号は同鉄道の全電動車中最もおとなしい音をしています。

[モハ31 主要諸元]
主電動機/TDK-31S-C (600V 56kW) x2 歯車比/1:3.2
台車/BW-78-25A

蒲原鉄道 モハ61形 モハ61
村松-五泉(往復) 1999年6月5日録音 約17分

録音・編集・プロデュース/TH 1999年編集作品
©TH


 モハ61号は大抵の場合,五泉寄りにクハ10号を連結した2両編成のため平日と土曜の朝ラッシュ時一往復しか走りません。そのため沿線学校の女子校生が多く乗車し彼女らの会話が発車前などにだいぶ入ってしまっていますが、走り出してしまえば電車のほうが音が大きく、カモフラージュされています。時間帯と機会の都合故、この点はご容赦ください。
 台車はDT10形。1910年代のものですが、筆者の知る限り1999年まで現役で使われていたのは、このモハ61号のみという大変貴重なものです。
 五泉行きの録音の冒頭心臓の鼓動のような音が入ってますが、これは電動発電機のもののようです。またコンプレッサの音も入ってますが、これもなかなか豪快な音をしています。
 この録音のおすすめは村松行きの今泉-村松間です。この区間はだいぶ長い間ノッチ投入のまま走るようで濁りのある古豪釣掛車独特の唸りが楽しめます。
 また、村松行きの今泉発車時のギヤのかみ合う音が絶妙に唸りながら加速していく点もお勧めです。

[モハ61 主要諸元]
主電動機/直流直巻電動機 (600V 75HP) x2※ 歯車比/1:3.67
台車/DT-10

※蒲原鉄道車両竣功図表による.なお,真鍋裕司氏の著書では「(蒲原鉄道の)電動機は大部分がTDK-31SC(56kW)に統一されている」とあるので,TDK-31SCの可能性もあるが,寺田裕一氏著書の諸元表では形式不明の「直流直巻56.2kW」となっている.


蒲原鉄道 モハ41形 モハ41
村松-五泉(往復) 1999年7月31日録音 約16分

録音・編集・プロデュース/TH 1999年編集作品
©TH


 1999年7月末の夏休み期間中に再度来訪した際に録音したものです。
 夏休みでしたので2連運行がなく、モハ41号が単行で行ったり来たりしていました。
 このモハ41号は路面電車のようなコンパクトな、モーターを台枠の外側に装架する「外釣式」の台車を装備しています。そのせいか、鉄道線車両の割には軌道線車両ライクな走行音となっています。
 いずれも先頭となった台車直上での録音ですが、村松寄りの台車のほうが派手に音をたてていましたので、村松行きのほうが賑やかな音になっています。

[モハ41 主要諸元]
主電動機/イングリッシュ・エレクトリック(製造) 東洋電機製造(更新) TDK-31SC(55.96kW) x2※ 歯車比:1:3.67
台車/軸バネ式※

※蒲原鉄道車両竣功図表による. なお, 寺田裕一氏著書の諸元表では「D14」となっているが, 現物は竣功図表にあるように軸バネ式のバーサスペンションドライブ(外釣掛)台車である.


左/五泉駅に停車中のモハ61号。蒲原鉄道は東日本屈指の古豪車で構成されている。
右/クハ10号。元は旧国鉄の戦前製機械式気動車。大変貴重な車両で廃止後、静態保存された。


左/五泉駅に到着するモハ31号。元西武の車両で塗色も西武の旧色そのもの。
右/村松駅に停車中のモハ31号。駅はラッシュ後で閑散としていた。


左/モハ61号車内。首都圏近郊では味わえない旧型車らしい車内である。
右/クハ10号車内。背もたれの低い戦前型気動車のものがそのまま残る貴重なもの。


左/蒲原鉄道五泉駅駅舎。JR駅に隣接。
右/五泉駅蒲原鉄道ホーム。背後の連絡橋は五泉市設置のもので鉄道とは無関係。



左/モハ31号の主制御器ほか。箱の文字はすべて単純な手書き。
右/モハ31号の台車。



五泉駅付近を走るモハ31号
まるでゼンマイ仕掛けのおもちゃのように「ジ、ジ、ジ、」と音を立てながらトコトコ走り去っていった。


写真はすべて1999年6月5日 撮影/TH
(このページの写真はすべてコダック レンズ付フィルムにて撮影)

こぼれ話

 1999年6月の訪問時は、新潟には泊まらずに羽越線を北上、そのまま奥羽線を経由して青森泊。
 続く99年9月訪問時は2日滞在のため1泊するも、ビジネスホテルの便が良い新潟駅近くで宿泊。しかし、結構遅くまで録音・撮影していたこともあり、新潟駅に着く頃には飲み屋街しか開いてる店が無く、加えて中心部は新潟駅から離れた場所にあることもあり、米・酒・魚の旨い新潟に来たにも関わらず大手牛丼チェーン店で遅い夕食と、残念ながら新潟のうまいものには、ありつけませんでした。
 そういえば、「かんてつレール祭り」当日の昼食も村松駅周辺には店も少なく、また出店も無かったので、何と駅前にあったコンビニの弁当でした。
 いつかは新潟で旨いものを食ってやるぞ、と心に決めていますが、訪問の機会が無いのが残念です。

 あと、モハ61号の録音をお聴き頂ければお判りですが、女子高生だらけです。
 新潟の女子高生といえばスカート丈が日本一短いことで有名でしたが(2014年時点では東京多摩地域や茨城のほうが新潟よりも短いとのこと)、当時は他地域以上にぶっちぎりで短かく、録音中も目のやり場を失う程のものでした。
 加えて1999年といえば未だ「ギャル」と「ルーズソックス」が健在だった時代。今時のような可愛さは無く・・・まあ、そういう時代でした、はい。

(TH)
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制作・著作 Copyright © 1995 Toru Hirose (Stream Express)
from TOKYO, JAPAN.

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