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高松琴平電気鉄道 高松琴平電気鉄道 (琴電/ことでん)
高松琴平電気鉄道の走行音録音です。

 古くからの電気鉄道で、開業当初以来のオリジナル車両のほか、各地からの多種多様な譲渡車両で「電車の博物館」とまで言われていましたが、近年の車両近代化により釣掛駆動の車両は定期運用から離脱。現在は京浜急行や京王,名古屋市営地下鉄からの改造譲渡車により冷房100%化を達成しています。
 一方、釣掛駆動車はオリジナルの1000形,3000形,5000形のうち各1両と、元近鉄の20形1両の計4両がイベント用として残り、時折臨時運転されています。

 ここで公開しているのは、主に2002年12月に開催された「旧形電車まつり」に合わせて予告・運用された、釣掛駆動車の録音からセレクションしたほか、ご提供いただいた志度線分断前の貴重な録音を揃えました。
 (この他にも収録音源があり、公開を予定しています)

 この2002年の年末に行われた「旧形電車まつり」の頃が旧形車の定期運用最末期であり、2003年以降名市交や京急からの譲渡車により琴平線・長尾線の冷房車化・大型車化が進められたほか、長尾線の元名市交車を志度線に転属させることで同線の100%冷房化を達成させています。

 また、琴電は近年まで全車両が協調制御可能なよう、主幹制御器はHLコントローラー(制御回路インターフェイスの互換化)、ブレーキは電磁SMEに揃えられ、これにより手動進段車と自動進段車が相互に制御可能な仕組みを確立していたことは注目すべき点でしょう。
 手動進段車やこれらを連結した自動進段車からのコントロールは、手動進段車に合わせてコントローラーのノッチを順次進めることで相互に運転でき、一方自動進段車のみの場合は自動で最終段まで加速進段できるという、アイデアものの仕組みでした。
 SME電磁ブレーキについても、元HSC-Dブレーキの車両についてはセルフラップ機能を廃しているものの、電空演算弁により電気制動機能を維持していることも特色です(SME-D)。

 このように各線ごとに全車両の連結運転が考慮されていたものとなっていましたが、長尾線1300形(元京急1000形)については車両の大型化により朝夕ラッシュ時の増結運用が解消されたことや改造コストの低減から、マスコンはHLではなく種車オリジナルのものを、ブレーキも種車のHSC-Dブレーキが存置されています。
※1300形は琴電初の発電制動併用セルフラップブレーキ車であるのと同時に、琴電初のダイレクトマウント式空気バネ台車使用車でもあります。

琴電315号
高松築港駅に停車中の315号
撮影:TH 2002年12月22日
(画像修正済)
長尾線 3000形 315号
長尾-高松築港 2002年12月22日録音

録音・編集・プロデュース/TH 2004年編集作品 CR版
©TH


 長尾線に残っていた、琴電オリジナル形式のひとつ、3000形の315号です。
 315号のみ運転台拡大工事を受けているため運転台直後の窓割りが他の3000形と異なり、運転台直後の1人分余の座席は録音するには都合の良い車両でした。

 琴電オリジナル形式でありますが、315号は2001年7月出場の際に台車と共に主電動機の交換を受けており、末期は「喫茶店」と言われた元阪神881形由来のボールドウィン(BW)タイプ台車とTDK-596主電動機を装備しています。オリジナルのものではない点が少々残念ではあるものの、元阪神881形の台車と主電動機は後に琴電でのみ使用されていたことを考えれば、これもまた貴重なものと言えるでしょう。

 琴電には元881形が多数入線したほか(初代30形)、台車と主電動機のみも多数入っており、長尾・志度線用として手頃な性能であったため、元京急230形の2代目30形も琴電入線の際、昇圧で廃車となった初代30形(元阪神881形)から発生した台車・主電動機に交換され、それがまた廃車となると今度は他の旧形車に流用されるなど、長尾・志度線車両において標準部品の地位を確立しています。

 その結果、旧形車自体の廃車進行により、営業用旧形車(動態保存車)の主電動機は、この881形由来のもの(TDK-596) と1000/3000形オリジナルのもの(USL-323B)に限られています。(2004年現在)

※捻出された元京急230形の台車・主電動機は、そのパワーと俊足を活かし琴平線用車両に流用。最末期は入替車代用の1062号車で使用されたが、2代目30形とは逆に「元阪神の車体に元京急の台車・主電動機」という組合せとなった。


主電動機/東洋電機製造 TDK-596 (750V 48.5kW) x4 / 釣掛駆動(歯車比3.5)

琴電23号
瓦町駅志度線ホームに停車中の23号
撮影:TH  2002年12月21日

志度線 20形 23号
志度線 瓦町-琴電志度(往復) 2002年12月21日録音

録音・編集・プロデュース/TH 2004年編集作品
©TH


 1925年製の元大阪鉄道(大鉄)デロ20形を経て近鉄モ5620形となった後、1961年に琴電に譲渡。日本の鉄道線営業用電車では最古参級です。

 近鉄時代は正面5枚窓でしたが琴電入線時に3枚窓の貫通形に改造。側面に飾り窓もあったのですが後の更新改造等で無くなり現在の姿になっています。このうち23号は現在でもニス塗の車内を堅持しています。

 台車等は琴電入線時に交換されており、2002年の収録時は琴電オリジナルの1000形から捻出されたMT100Bに、主電動機も台車と共に1000形のオリジナルであるドイツ・アルゲマイネ(AEG)製「USL-323B」を装備しています。
 製造当時、電車用電機品の大半はアメリカから輸入でしたので、ドイツ製主電動機は非常に珍しい存在です。

ただし、琴電では旧型車で頻繁に台車や主電動機の交換を行なっていた経緯があり、現在でも廃車となった旧形車から発生した状態の良い台車・主電動機に交換されることがあり、このため各種文献による諸元表通りではないことがあります。
 しかし、概ね台車と主電動機はセットとなって交換されているようなので、MT100B台車の場合はUSL-323Bを装備しているものと推測されますが、実際については現場の方と接することができる「旧型電車まつり」等でお伺いするしかないようで、関東在住の筆者には距離の関係で行きづらいのが惜しいところです


公式リンクサイト様の関連掲示板に寄せられた情報によりますと、USL-323Bを装備している車両は2005年6月現在、志度線の21,22,23,24、長尾線の120,325の各車とのことです。情報をお寄せいただきました方に感謝いたします。
 なお、2008年秋の時点では、23号の台車はMT100Bのままのようです。


 なお、2006年7月に発表された旧形車廃車対象車として20形が3両(22,23,24号)、3000形が1両(335号)、750形が1両(760号)の5両の廃車が発表されましたが、23号は車内ニス塗りということもあり急遽廃車対象車から外れ、後に21号が代替で廃車となっています。

主電動機/ドイツ・アルゲマイネ(AEG)製 直流直巻電動機 USL-323B (750V 48.5kW) x4 / 釣掛駆動(歯車比3.14)

琴電22号
瓦町駅志度線ホームに停車中の22号
撮影:TH  2002年12月21日
志度線 20形 22号
高松築港-琴電志度 1994年3月14日録音

録音/DS 編集/TH 2005年編集作品
©DS/TH


 DS様録音による、琴電22号の録音です。

 当時は志度線分断前で、志度線が築港に乗り入れし長尾線が瓦町発着でした。このため、志度線電車は瓦町でスイッチバックしていました。
 志度線が築港に乗り入れていた記録として、その様子を入れようと思い残しましたので、走り出すまでに1分ほど時間がかります。

 23号の2002年録音とは響きが少々異るのが興味のあるところです。

琴電760号
高松築港駅に停車中の760号
撮影:TH  2002年12月21日
長尾線 750形 760号
長尾-高松築港 2002年12月21日録音

録音・編集・プロデュース/TH 2005年編集作品 2009年CRリマスタリング版
©TH


 2006年7月で引退した、750形760号です。
 元は玉野市営電鉄の車両だったものが、同電鉄の気動車化で琴電に譲渡されたものです。 足周りは2002年より30形の廃車発生品と思われる、元阪神881形由来の台車と主電動機(TDK-596)を使用しています。

 収録した時間は21時を過ぎていた頃で、下り列車は混んでいましたが、録音した上り列車は最初の1区間のみ乗客の話し声が気になりますが、その後は閑散としており、直線区間では速度も出ていて状態の良い録音でした。

主電動機/東洋電機製造 TDK-596 (750V 48.5kW) x4 / 釣掛駆動(歯車比3.5)
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制作・著作 Copyright © 1995 Toru Hirose (Stream Express)
from TOKYO, JAPAN.

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