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真岡鐵道
真岡鐵道の走行音録音です。

真岡鉄道モオカ53形
真岡鉄道開業時に導入された,モオカ63形気動車.

富士重工製のローカル私鉄向け気動車「LE-CarII」シリーズをベースにしているが,エンジンは小松製作所製のブルドーザー用エンジンを改良したものを搭載していた.

老朽化に伴い,2006年までに廃車されている.

撮影:TH
2002年6月23日 下館駅
(トイデジカメ撮影/画像修正調整済)

 真岡鐵道真岡線は茨城県の下館から栃木県の真岡を経て茂木へと至る、全長41km余の路線です。

 元は国鉄の赤字線として「第2次特定地方交通線」として廃止対象路線に指定され、国鉄分割民営化により一旦JR東日本が継承し、民営化1年目の1988年に第三セクターの「真岡鐵道」として経営が移管されたものです。

 開業時は富士重工製のローカル私鉄向け気動車「Le-CarII」をベースにした「モオカ63形」が導入されましたが、エンジンには標準の日産ディーゼル製のものではなく、地元栃木県に工場を持つ小松製作所製エンジンを採用。この時採用されたものはブルトーザーエンジンを横型に改良したものですが、これを契機として小松製作所は鉄道車両用エンジンへ参入していきます。

 SL列車の運行は1994年よりC12 66号機により「SLもおか」として運行を開始。その後C11 325号機も導入し、自社線内でのSL列車運転のほか、JR東日本等への貸し出しも行なっています。
 「SLもおか」は都心から適当な距離にある路線ということもあり、また機関車が2両あり、客車の検査時以外は通年で運転されることから、年間を通じて人気のある列車です。
 また、客車に原型を留める50系客車を使用していることから、夏季は冷房も無く窓を全開できること、冬季は蒸気機関車からの蒸気供給により暖房されていることなど、SL列車の醍醐味を手軽に楽しめる列車でもあります。

※東京から最も近い路線でSL列車が運行されているのは、秩父鉄道のC58形による「パレオエクスプレス」(熊谷-三峰口)であるが、検査時のほか冬季は運転を休止しており、休止期間が「SLもおか」と比べて長期間となっている。

[参考]2011年3月11日 東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)
沿線市町の震度(本震)

筑西市:6強 真岡市:6強 益子町:5強
市貝町:6強 茂木町:5強

真岡鉄道「SLもおか」C1266と50系客車
茂木駅に停車中の「SLもおか」C12 66号機と50系客車.

撮影:TH 2002年6月23日
(画像修正・調整済)

C12 66 サイドビュー
C12 66号機サイドビュー.
軸配置は1C1(2-6-2T/Prairie)である.

撮影:TH 2002年6月23日
(画像調整済)

真岡鐵道「SLもおか」 C12形蒸気機関車 C12 66号機+50系客車
上り(復路) 茂木-下館 2002年6月23日録音 約80分

録音・編集・プロデュース/TH 2011年編集作品
©TH



真岡鐵道「SLもおか」 C12形蒸気機関車 C12 66号機+50系客車
下り(往路) 下館-茂木 2002年6月23日録音 約80分

録音・編集・プロデュース/TH 2015年編集作品
©TH


 タンク式蒸気機関車C12 66号機による「SLもおか号」の録音です。
 蒸気機関車列車の録音テストを目的として乗車、上り・下りいずれも収録は機関車隣接の客車より風対策を施して前方に向けたマイクより収録したものです。
 (←下館 オハフ50 33 + オハ50 22 + オハ50 11 茂木→)

 70年代SLブームの頃もそうであったように蒸気機関車の録音はテクニックが要求されるため、当時刊行された雑誌や書籍等の文献の内容を思い出しながらの録音でした。

 さすがに筆者は当時の世代ではないですが、刊行された生録関係の書籍は後に図書館の蔵書で多くを目にし(70〜80年代は今と異なり蔵書期間が大変長く保たれていた)、購読していた電子工作雑誌にも生録関係の連載記事が豊富にあり、当時と同様にアナログテープ録音であった筆者にとって大いに参考となるものでした。
 マイクのセッティング方法についても当時の記事等を参考にし、風の影響を緩和するためにタオルを装着することや(この録音ではタオル地ハンカチ)、同様にマイクのローカットフィルタを有効にし編集時に復元する方法も、当時のSL実況録音レコードの制作記事に記されたものを応用したものです。

 リハーサル無しの本線蒸機録音でレベル合わせの具合を掴むのは一発では難しく、往路の下り列車録音は汽笛音が過大で苦労しました。
 そこで、茂木発車後の丘陵地帯への上り勾配、通称「天矢場越え」で聞きどころのある帰路の上り列車の録音のみ公開していましたが、下り列車についても一番酷い汽笛が編集で何とかなったので、2015年12月に公開としました(軽い飽和状態にあるものは磁気録音の産物として放置)


 さて、真岡鐵道にはC11 325号機とC12 66号機の2両の動態保存蒸気機関車があり、主に週末「SLもおか号」として運転されるほか、C11 325はJR東日本管内のローカル線等での臨時SL列車等でも運転されています。

 C12は、C11よりもより低規格・低コストな「簡易線」向けの機関車として1934年より作られ、C11に比べ小型計量化に努め、また溶接構造を全面的に採り入れる等の改良が加えられています。
 簡易線の建設資材輸送等や、簡易線等級のローカル線列車に用いられ、C12 66号機は2011年3月の東日本大震災による津波で大きな被害を受けた、石巻線石巻-女川間や山田線や釜石線の建設資材輸送にも充たっていました。

 戦後の1947年までにのべ282両が製造され、私鉄で製造されたものの国有化や樺太庁(南樺太)の内地化で国鉄へ編入したものもある一方、軍による徴発等により南方等に送られたものもあります。
 前述のように私鉄や樺太庁向けの同型機のほか、当時日本が領有していた台湾(台湾総督府鉄道)向けにも作られ、そのうちCK124号機が現在も中華民国・台湾鉄路管理局により動態で保存されていますが、一方で南方に送られたものや南樺太にあったものは、敗戦後の混乱により行方の判らなくなったものが殆どです。

 廃車は徐々に行なわれたものの、後継の小型タンク式機関車が作られなかったことから、蒸気機関車運用末期まで全国の閑散線区や入換用として長く使われました。
 現在でも全国各地で保存されているほか、前述の中華民国・台湾鉄路管理局での同型機の運転、さらにベトナムでも保存機や、最近まで専用線で稼働していた機体があるとの情報もあります。

 C12 66号機は廃車後、福島県川俣町で静態保存されていましたが、1991年に動態復活のため譲渡され、JR大宮工場での復元の後、真岡鐵道でC11 325号機と共にSL列車に用いられています。
 真岡鐵道のSL列車は自動扉を有する50系客車であるため、機関車側にも元空気溜管(MRP)引き通し改造が施されておりますが、国鉄時代は蒸気機関車牽引による50系客車定期列車が存在しなかったため、日本の蒸気機関車史上異例のものとなっています。
 また、50系客車の暖房は機関車からの蒸気供給となっており、近年では貴重な蒸気暖房列車でもあります。

※他に、大井川鉄道のSL列車も冬季は蒸気暖房を使用している。JRでは2011年5月に復活したJR東日本C61 22号機に合わせ、高崎車両センター所属旧形客車の蒸気暖房設備の再整備が行なわれ、今後冬季に蒸気暖房を使用するとのこと。その他のJRのSL列車は、客車搭載の発電機による電気暖房となっている。

 2011年3月11日の東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)で、真岡鐵道では路盤陥没や駅舎損壊等の大きな被害がありましたが、3月23日に真岡-茂木間が部分的に復旧し、4月1日より全線で運転再開となりました。
 しかし、SL列車は客車を含めると通常の気動車よりも5倍の負荷が線路・路盤にかかることから、簡易線用のC12でも無理があり、より慎重に安全確認を行なった上、SL列車の運転は5月21日より再開しました。

 再開列車を牽引したのは、この震災でも被害を受けた福島県川俣町で長く保存され、そして今回の震災による津波で壊滅的被害を受けた石巻線の石巻-女川間の、70余年前当時の建設資材輸送に用いられていた、このC12 66号機でした。
「SLもおか」C1266号機(下館) 下館駅側線に停車中のC1266と50系客車.
往路は回送列車で真岡よりDL牽引で回送され,一旦側線に留置された後DLを切り離し入れ換えで真岡線ホームへ入線する.
復路到着後は真岡寄りにDLを連結し,一部駅通過の営業列車として真岡へ帰る仕業となっている.

撮影:TH 2002年6月23日
(画像調整修正済)
真岡鉄道オハ50 22 車内 真岡鐵道オハ50 22の車内.

この頃は座席色も国鉄・JR当時と変わらず,オリジナルを維持していた.
原型の50系客車による営業運転は,この真岡鐵道の3両のみとなった.

撮影:TH 2002年6月23日
(画像調整修正済)

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制作・著作 Copyright © 1995 Toru Hirose (Stream Express)
from TOKYO, JAPAN.

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