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下北交通
下北交通の走行音録音です。


下北交通大畑線キハ85.
元国鉄のキハ22形.

撮影:TH 2001年2月11日 下北駅


夜の田名部駅
夜の田名部(たなぶ)駅.
三角屋根が特徴的.

撮影:TH 2001年2月11日
(画像調整済)

本州最北端「漁火の見える叙情ライン」

 本州最北端に位置する青森県の下北半島。その半島に位置する下北駅(青森県むつ市)と大畑駅(旧大畑町/現むつ市)を結んでいたのが、下北交通大畑線(18.0km)です。
 元々は旧国鉄の大畑線だったのですが、1985年に旧国鉄末期のローカル線廃止政策で地元のバス会社「下北交通」に移管したものです。
 ほとんどが第三セクターへの移管であった中、地元会社に移管したのは東北地方ではこの下北交通大畑線と、旧国鉄黒石線であった弘南鉄道黒石線だけです。(いずれも既に廃止)

 この大畑線は旧国鉄時代「国鉄線本州最北端」を走る路線でもあったのですが、経営移管後でも「本州最北端」の鉄道には変わらず「みなと海峡ライン」という路線愛称をつけ、乗車証明書サービスなども行っておりました。
 経営移管後約15年走りつづけましたが、下北半島にも道路整備の進展や自家用車の普及などといった環境の変化に加え、1990年代中頃には国からの転換交付金も底を尽き、設備や車両の老朽化も目立つようになり、残念ながら2001年3月31日をもって廃止されました。

 車両は経営移管時に旧国鉄から譲渡された、1962年新潟鐵工所製キハ22形3両を改造のうえ、キハ85形として下北交通カラーに塗り替えて使用されていました。
 このカラーは下北交通のバスと同じですが、偶然にもかつての旧国鉄気動車のツートンカラーを彷彿とさせるものがあり、他の移管路線や第三セクター鉄道のような派手さもなく落ち着いたカラーになっています。

 キハ22形は元々北海道向けの酷寒地仕様車で、窓は本州向けに比べて小さく2重化され、金具の付いた雪靴や雪下駄や融けた雪で濡れた際の滑べりにくさから木張床となり、保温対策でデッキ付きと言う違いがあります。
 一部は東北でも使用されており、この3両は国鉄時代の最終配置区が当時の一ノ関機関区に配置されていたものです。
 下北交通への譲渡にあたって、トイレ撤去,ワンマン化のためデッキと客室の仕切りを撤去,ロングシートの延長などの工事が行われています。改造がそれなりの規模ですが、運転台やデッキ付近を除けば国鉄時代そのままであり、外観も塗装以外は変わってません。
 カラカラと響く旧形のディーゼルエンジンとともに、国鉄ディーゼルカーの雰囲気を残していました。

 下北交通廃止により、本州最北の鉄道はJR大湊線となっています。


料金表
車内掲出の料金表.
樺山駅は冬期休業の駅で,本録音でも自動放送を飛ばす様子がある.

撮影:TH 2001年2月11日
カウントダウン看板
廃止日までのカウントダウンを表示した看板.

撮影:TH 2001年2月11日
(画像調整済)





下北駅に停車中のキハ85.

撮影:TH 2001年2月11日




下北交通 キハ85形 キハ85-3
大畑-下北 2001年2月11日録音(約28分)

録音・編集・プロデュース/TH 2001年編集作品 2011年リマスタリング版
©TH


 廃止直前となった2001年2月に録音したものです。

 首都圏からは遠方であったため、JR東日本の3連休割引切符を利用して行った時のものです。
 同じよう割引切符期間中に行こうと考えていた方が多いせいか、昼間は「お名残乗車」で賑やかでした。
 しかし15時前になると、盛岡から新幹線で首都圏方面へ帰るタイムリミットともなって人出も減ってきます。
 筆者は2日間田名部(たなぶ)に滞在し、何度かチャレンジしての録音でした。

 収録は駆動軸のある大畑寄りのロングシート付近(台車直上)からエンジンのある前方へマイクを向けて行いました。
 そのためややエンジン音が遠い感じがしますが、車体中央のクロスシート部分にはお名残乗車の方が多かった関係もあって、この位置に落ち着きました。そのぶん駆動軸のギヤの音もかすかに録れています。
 雪の積もった線路は静かな走りとなります。
 しかし凍結して固まった道床もあって、揺れれば「ドスンドスン」と響いたり、凍った道床を踏む「バリバリ」とした音もあったりするのが、この季節ならではです。

 この録音からWM-D6C「ウォークマン・プロフェッショナル」を実戦投入していますが、WM-D6Cの「癖」に慣れてなく、昼間のお名残乗車混雑列車で何度かリハーサルをしてました。
 そのおかげもあって録音に成功たものです。

 収録時期が2月なんで当然なんですが現地の気温は氷点下となり、ニッケル水素電池の持ちが暖地よりも短くなりがちであったため、録音もデジカメ撮影も電池の減り具合との勝負でもありました。
 2日目から録音については、ニッケル水素電池に比べて寒さの影響が少ないアルカリ乾電池を使ったりと苦労しました。

キハ85形主要諸元
製造年/1962年 製造所/新潟鐵工所
全長/20m 全幅/2.92m 重量/31トン
機関形式/DMH-17Cディーゼルエンジン
(水冷8気筒17,000cc 出力180ps 定格回転数 1500rpm)

国鉄時代旧番号(括弧内)
キハ85-1(←キハ22 149)/キハ85-2(←キハ22 150)/キハ85-3(←キハ22 151)


キハ85形車内 銘板
左/キハ85形車内。ほとんど国鉄時代のまま.
右/キハ85形の銘板。改造は国鉄盛岡工場.


キハ85運転台夜のキハ85
左/キハ85の運転台
右/
夜のキハ85車内
夜のキハ85/田名部駅夜の下北駅
左/夜の田名部駅停車中のキハ85.ホームは既に凍結していた.
右/夜の下北駅。バルブ撮影の銀塩カメラマンも多数いた.

印 2001年2月11日 無印 2001年2月12日 撮影/TH
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