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箱根登山鉄道
箱根登山鉄道(登山電車)の走行音録音です。

登山電車
さよならヘッドマークをつけた101号+102号編成

撮影:TH 2002年2月6日 強羅駅
80パーミルの標識
80パーミルの標識.

撮影:TH 2001年2月6日 箱根湯本駅付近
80パーミルの坂を登る登山電車
80パーミルの坂を登る登山電車
「登山電車」の名前とおりの勾配が箱根湯本駅を出てすぐに始まる,期待を裏切らない線区である.

撮影:TH 2001年2月6日 箱根湯本駅前
(画像修正済)
「箱根の山は天下の剣」急勾配を走る日本唯一の登山電車

 箱根登山鉄道は箱根湯本から強羅へ至る、日本で唯一の登山電車です。
 現在の箱根登山鉄道の路線は1919年に小田原電気鉄道(当時)が箱根湯本-強羅間に開通させた路線です。その後1935年に登山電車は国鉄(当時)の小田原駅に横付けする形で延長します。

 さて、登山電車という位ですから急な坂を登る電車なのですが、その最急勾配は80パーミル(1000分の80)という粘着(車輪とレール)だけで走るものとしては日本一のものです。

なお、非粘着ではレールの間に「ラックレール」という歯型レールと車輌側の「ピニオンギヤ」を噛合せて使う方式を採用した大井川鉄道井川線(静岡県)の90パーミルが、またケーブルカーでは高尾登山電鉄(東京都八王子市)に608パーミル(傾斜角約31度)という超急勾配があり、これが全ての日本の鉄道事業法準拠の鉄道路線の中で最急勾配となる。

 そのため、登山電車には一般の鉄道線電車にはない特殊装備が数多くあります。急曲線対策のための散水装備(車両側に水タンクを装備)、屋根上に電気ブレーキに対応した大容量抵抗器、そして台車中央に取り付けられた非常用ブレーキ(カーボランダムブレーキ)などがあり、いずれも急勾配に対応した設備です。

 また、小田原-箱根湯本間は小田急線の電車が乗入れるため、この区間は架線の電圧が1500Vになっており、登山電車のみとなる箱根湯本-強羅間750Vの倍の電圧がかかっているため、複電圧仕様となっているのも特徴です。
 小田原-箱根湯本間の小田急線電車の乗入れは1950年に開始。小田急線電車と登山電車は架線電圧も異なりますがレールの幅(軌間)も異なり、以前は小田原と箱根湯本の区間で、現在は車庫がある入生田と箱根湯本の区間で双方の電車が走れるよう、レールが3本敷設された「3線式軌条(1軌条共用)」になっていることも大きな特徴で、小田急線新宿や東京メトロ千代田線北千住からの特急ロマンスカーも乗入れています。

 登山電車の「顔」は長らくモハ1形やモハ2形,モハ3形(廃形式)の「正面3枚窓半流線形・窓の上下に帯とステップ付き車体」でしたが、1981年に46年振りの新車1000形「ベルニナ号」が、続いて初の冷房車2000形「サン・モリッツ号」が、21世紀に入って2014年から2017年には3000形・3100形「アレグラ号」が登場し、その一方でモハ3形や一部のモハ1形,モハ2形が過去のものとなっています。
 現存するモハ2形全車とモハ1形106-104編成は台車交換の際にカルダン駆動化されており、開業以来の釣掛モータの音が聞けるのは、モハ1形の103-107編成が最後でした。

 この様な小柄な登山電車によって小田原から箱根湯本,強羅への輸送が行われていたのですが、特に小田原-箱根湯本間は週末や日中に大変混雑するようになり、2000年12月のダイヤ改正以降より同区間の日中は小田急車6両編成のみで運転となり、登山電車の小田原-強羅直通運転は朝夜だけに限定。 その後の運用見直しによって、2002年2月に101号と102号車が廃車となっています。

 さらに2006年3月から、新宿からの直通急行と早朝夜間にあった小田原-箱根湯本間の自社車両による運行を廃止し、各駅停車は小田急車4両編成での区間運転となり(一部小田原以遠からの直通を含む)、バリアフリー対応や小田原駅・風祭駅改良とあわせて小田原-入生田間の標準軌側軌条(レール)を撤去し、物理的にも自社車両による小田原への乗り入れは不可能となりました。

 本ページで「天下の剣」を、釣掛モーターを唸らせながら上り下りする日本唯一の登山電車の音を、じっくりとお楽しみください。

 なお、サービス面では鉄道線全駅で首都圏私鉄系ICカード乗車券システムを導入し、「交通系ICカード全国相互利用サービス」にも対応しています。
登山電車停車駅案内図
登山電車停車駅案内図
(画像修正済)


強羅駅停車中の登山電車
小田原駅に停車中の101号+102号編成.
大規模改良工事前のもので,現在は狭軌化で小田原駅に登山電車は来れなくなった.

撮影:TH 2001年2月5日 小田原駅
箱根登山鉄道 モハ1形 モハ102 車内録音
小田原-強羅 2002年2月6日録音 約48分

録音・編集・プロデュース/TH 2020年編集作品
©TH


 引退直前となった2002年2月の録音です。

 車内録音のものは帰宅時間帯のため混雑しており、会話の多い録音だったため公開していませんでしたが、収録から18年が経ったこともあり新たに編集を行い、公開するものです。

 今となっては大変貴重な登山電車の小田原乗り入れの録音で、「ヒューン」と唸るモーター音が特徴の箱根湯本までの比較的高速度な走行と、箱根湯本からの急勾配区間を釣掛ギヤの唸りを上げて上るダイナミックな走りの双方を、お楽しみください。

 なお、車外録音のものと比べて会話部分や長い停車等を切り詰めたため、車外録音版よりも約2分程短くなっています。


強羅駅停車中の登山電車
さよならヘッドマークをつけた101号+102号編成.

撮影:TH 2002年2月6日 強羅駅
モハ101号車内
モハ101号車内.
クロスシートとなっていた.

撮影:TH 2002年2月6日
貫通路付近
貫通路は非常時以外は閉鎖されている.
画像は検車区での車両見学会で開放していた時のもの.

撮影:TH 2001年2月24日
入生田検車区公開時に撮影
箱根登山鉄道 モハ1形 モハ102 車外録音
小田原-強羅 2002年2月6日録音 約50分

録音・編集・プロデュース/TH 2002年編集作品 2008年リマスタリング版
©TH


 前述の車内録音版と同じ列車を、妻面窓より小型マイクによる録音したものです。

 車内録音版と比べて「ヒューン」と唸るモーター音が、ダイナミックかつダイレクトに収録されています。


箱根登山鉄道 モハ1形 モハ101 車外録音
強羅-小田原 2002年2月6日録音 約44分

録音・編集・プロデュース/TH 2002年編集作品 2009年リマスタリング版
©TH


 上記モハ102号の折返し列車で、モハ101号側からの録音です。
 山を下る際は発電制動を利かせながら降りて行くので、唸りながら山を下って行きます。
 屋外,トンネル,箱根湯本-小田原間と条件が異なる場面が多く、録音レベル調整がシビアでした。
 箱根板橋-小田原間のトンネルでレベルオーバー気味になっていますが、ご容赦ください。

モハ1型諸元
製造年/1919年 車体更新/1950年
更新実施/東京芝浦電気
全長14.6m 全幅2.59m 全高3.99m(パンタ折畳高) 自重35.4トン
制御方式/抵抗制御
制御器形式/芝浦RMK106-B(電磁単位接触器式・手動進段間接式)
主電動機(釣掛駆動車)/芝浦SE121-A(78.3kw)x4個 歯車比3.69
主電動機(カルダン駆動車)/東洋電機製造TDK-8180-A (95kW)x4個 歯車比1.60
使用台車/ ※下線付はカルダン台車
モハ101(廃車):日本車両NA-7A
モハ102(廃車):東急車両TS-110
モハ103(廃車):東急車両TS-110
モハ107(廃車):日本車両NA-7 → TS-110 (元モハ102使用の台車)
モハ104:東急車両TS-110→ TS-330A
モハ106:日本車両NA-7 → TS-330A



貫通路を外部から モハ1形運転台
左/貫通路を外から.非常用であるため簡易構造.車外録音での金属音はこの保護チェーンとステーの当たる音.
右/モハ1形の運転台


モハ101台車(NA-7A) モハ102台車(TS-110)
左/モハ101台車(日車NA-7A) 揺マクラ吊りがなく台枠で枕バネを直接マウントする構造.
右/モハ102台車(東急TS-110) 揺マクラ吊りのある構造.廃車後モハ107号へ転用された.

モハ101側面 モハ102側面
左/引退直前にレタリングされたモハ101の側面. 小田原駅
右/同じくモハ102側面.小田原駅

モハ1形略歴 東芝の銘板
左/モハ101,102号の略歴(車内吊)
右/モハ1形の東芝銘板.東芝製車体の電車は珍しい.


印 2001年2月24日(入生田検車区公開時に撮影) 無印 2001年2月6日 撮影/TH

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制作・著作 Copyright © 1995 Toru Hirose (Stream Express)
from TOKYO, JAPAN.

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