

Home > Sound Gallery > 私鉄・公営 その他 > 東北地方・仙台都市圏 > 南部縦貫鉄道

![]() |
南部縦貫鉄道 南部縦貫鉄道の走行音録音です。 |
![]() 南部縦貫鉄道キハ10形. 国鉄キハ10000形が「簡易な鉄道車両車体」であったのに対し,バス車体を手掛ける富士重工製レールバスは,まさに当時のバス車体そのもので,窓上部がゴム支持の「バス窓」も,そのまま用いられた. バス車体故に長い耐用年数は考慮されていなかったが,結局廃止まで35年も運用されたことは特筆すべきだろう. キハ10形登場から20年後,富士重工は閑散非電化私鉄向けに,当時のバス車体設計を応用した第二世代形レールバス「Le-Car」を開発.特に国鉄・JR線から転換された第三セクター鉄道で多く導入されたが,これらもバス車体故に老朽化が進行し,営業用で稼働するものは2012年現在,2軸車は紀州鉄道の2両,ボギー車は樽見鉄道,いすみ鉄道,わたらせ渓谷鉄道の計9両のみとなった. 撮影:MT 1995年7月 (画像修正・調整済) ![]() キハ10形レールバス車内. 車内もバスそのものである. 撮影:MT 1992年2月 (画像修正・調整済) ![]() キハ10形レールバスの運転台. 機械式変速機のため,右側に変速レバーがある. 撮影:MT 1992年2月 (画像修正・調整済) |
■南部縦貫鉄道 キハ10形 キハ102 野辺地-七戸 1997年2月22日録音 約38分 録音/DS 編集/TH 2011年編集作品 ©DS/TH DS様による録音をご提供いただきました。 日本での最初の「レールバス」は、西ドイツ「シーネンオムニバス」を範にとり、2軸の小型車体を備えた国鉄キハ10000形(後のキハ01形)が東急車両製造の手により製造されていますが、鉄道車両と共にバス車体も手掛ける富士重工業(現・SUBARU)においても、私鉄向けに同社得意のバス車体設計を流用した独自のレールバスを開発。それが、このキハ10形です。 1960年代のバス車体そのものといった丸みのある車体に、「バス窓」と呼ばれる上段ゴム固定式の窓、下段の窓枠もバス用、エンジンや変速機といった機器関係もバス用のもの用いたそれは、国鉄キハ10000形よりも徹底し、まさに「レールバス」の名のとうりのものです。 富士重工は1959年に北海道の羽幌炭坑鉄道へこのレールバスを納入。続いて1962年に南部縦貫鉄道に2両納入したものです。 しかし、レールバスは全長が10m程度で定員も少なく、変速機も機械式であるため多客時の重連運転には運転士が2名必要になるなど、特に国鉄においては輸送力の少なさは致命的で、早期に一線から退き廃車されていますが、南部縦貫においては路線が存続していたこと自体が奇跡的とも言うくらい旅客需要そのものが大変少なく、路線休止まで実に35年間も運用されています。 さて、このキハ10形ですが、日本においては最後の営業用機械変速式気動車でもありました。 エンジン制御とブレーキは他の鉄道車両と同様に手で操作するものの、クラッチ(左足)とシフトレバー(右手)を操作し加速していくそれは自動車と同様のもので、録音にもありますように走り出しの様子は、まさに自動車そのものです。 サスペンションも当時のバスと同様、重ね板バネで乗り心地は硬く振動もあまり吸収しないもののようで、加えて極限まですり減った軌道もあって走り出せば振動ノイズだらけの状態。録音でも否応が無しにその様子が記録されています。 エンジンは日野DS90で、エンジンについての資料が極めて少ないので推測になりますが、バス用横型エンジンのようです。 しかし、このエンジンは1950年代のもの。よく20世紀末まで持ったものだと思いきいや、英語でgoogle検索してみると、世界にはこのエンジンのアフターパーツ(ピストンリング,バルブ,シリンダーライナー)をカタログに載せている所もあり、どうやらこのエンジンは今でも世界のどこかで使われているようです。 【キハ10形 キハ102】 製造年 1962年7月 製造所 富士重工業 竣工年月日 1962年10月15日 全長 10,296mm / 全高 3,165mm / 全幅 2,600mm 自重 9.5トン 定員 60名(座席27名) エンジン 日野DS90 (排気量 7,014cc※ / 連続定格 106PS 2000rpm) x1 ※株式会社リケン PISTON RING SET SIZE LIST vol.17より (海外向け資料) |
Home > Sound Gallery > 私鉄・公営 その他 > 東北地方・仙台都市圏 > 南部縦貫鉄道 |